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2022.01.15

建長寺 羅漢講式

毎年1月15日に建長寺では三門上で「羅漢講式」が行われます。

「講式」とは、仏・菩薩・祖師・諸天神などを奉讃する法会の儀式を書いたものの総称でありますので、「羅漢講式」は三門にお祀りされている五百羅漢を供養・讃嘆する法会です。この法会は禅宗において重要な法会として営まれています。

 

建長寺の隣山円覚寺でも羅漢講式は営まれますが、建長寺の羅漢講式の特色には建長寺開山大覚禅師蘭渓道隆禅師が著された「羅漢講式」が伝えられていることです。

また、大覚禅師は「羅漢講式」とともに「観音講式」「涅槃講式」「舎利講式」「達磨講式」を記されたとされ、これを『大覚禅師建長五講式』と称されています。(現在行われているのは「羅漢講式」のみ)

 

建長寺

 

『禅学大辞典』によりますと、日本では羅漢講式は宝治三年(1249)正月一日に曹洞宗の道元禅師がこれを修したといいます。建長寺開山大覚禅師が南宋から来朝された頃です。

 

ミヒャエラ・ムロスさんの研究(蘭渓道隆『羅漢講式』についてーその成立と伝播を中心にー)には、中国仏教には「講式」はなく、日本仏教で発展した儀式分類であることが記されています。

つまり中国南宋からの渡来僧である大覚禅師が撰述したとするならば、講式が盛んであった日本に来朝してから様々な講式を参考に「羅漢講式」を著されたと考えられます。

 

大覚禅師著として伝わる「羅漢講式」の直筆は残されておりませんが、文化三年(1816)に写されたものがあります。

十六羅漢、あるいは五百羅漢を供養し、讃嘆する法会の式次が書かれてありますが、その内容は、勧請・総礼・祭文・式文・普回向から成っています。

この「羅漢講式」が臨済宗で用いられるようになりました(のちに円覚寺では勧請・祭文・総礼・式文・普回向の順)。

 

なお現在は、声明曲が加えられ、次第は鼓鉢・勧請・総礼・祭文・願文・式文・普回向・諷経・回向・鼓鉢となっており、礼拝対象も建長寺では十八羅漢のみが述べられているようです。

 

羅漢講式は建長寺老師を導師に山内塔頭・近末寺院の尊宿が法要される法会ですので私自身、建長寺僧堂に在錫している時、数回羅漢講式に参加しただけです。

 

覚えているのは、何十回も五体投地の礼拝をしますので、まだ二十代の疲れ知らずの雲水でしたが身体的に疲労が大きかった思い出があります。

今となっては、「羅漢講式」に参加できたことは貴重な機会でしたので、身体と共に心を尽くして五体投地をすべきだったと少し後悔の念もあります。

今は日々、福厳寺ご本尊様、菩薩様にたいする五体投地の礼拝を怠ることなく勤めております。

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