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2022.12.31
迎正支度
令和4年もいよいよ過ぎ去ろうとしています。
12月は、「師走(しわす)」と呼ばれるように師匠(僧侶)が慌ただしく走り回る様子に由来するそうですが、成る程と思わされます。
福厳寺の12月はお釈迦様がお悟りになられた8日の早朝に成道会を行うほか、
毎年12月に副住職が鎌倉建長寺での鎌倉禅研究会での発表があり、足利大学附属高校・短期大学など足利大学系列での成道会行事にも出席しております。
あっという間に月末になり慌ただしく正月支度をする頃になりました。
本堂の荘厳(しょうごん)や通り6丁目切通にある観音堂の迎正支度をします。
本堂は大般若経600巻が納められている般若箱を設置し、
床の間には白隠禅師の達磨図を掛けます。
禅寺では、成道会に「出山釈迦図」を、正月には「達磨図」を掛ける風習があります。
この達磨図は片方の履を持つ隻履(せきり)達磨で、「嗟君未到金陵日 寡婦掃眉坐緑氈 君既到金陵城後 慈鳥失母咽寒煙」という賛が付されています。
これは達磨を待ちわびていた梁の武帝の気持ちが詠われているとされています。
君(達磨)が金陵にやってこなかった時には、寡婦は化粧して緑氈に座し、夫の来るのを待ちわびていた。達磨がやって来た後には、孝行烏が母を失って、寒煙に咽び泣いている
武帝のこれまでの善業を達磨が「無功徳」と言い放ったことに因むのでしょうか。
ぎろりとした大きな目で、人の心を見透かしているようです。
綺麗さっぱりした心で新年を迎えましょう。