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2021.09.20
秋季彼岸会
お彼岸会
「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、春秋二季のお彼岸は四季の美しい日本特有の仏教行事(仏教週間)です。
お寺参りやお墓参りをして祖先のご恩を偲び、今の恵みに感謝するとともに、自分の生活を静かに反省す修養すべき時が「彼岸」です。
つまり「菩提の種をまく日」です。
仏教では煩悩(欲望・迷い)の多い私たちの世界を「此岸(しがん・こちらの岸)」といい、
それに対して迷いや執われのない心の自由な世界、理想の世界、仏の世界(極楽浄土)を「彼岸(かの岸・あちらの岸)」といいます。
私たちの現実の世界である此岸から、理想の浄土である彼岸へ行きつくこと(到彼岸)を梵語(サンスクリット語・古代インド語)で「パーラミッター」といい、これを漢訳して「波羅蜜多(はらみた)」といいます。
彼岸に渡るためには「六波羅蜜」という六つの実践徳目があります。
1、布施(ふせ・ほどこし)・・・喜んで与える
2、持戒(じかい・いましめ)・・・自他の生活を守る
3、忍辱(にんにく・しのび)・・・わがままをいわず耐えることを知る
4、精進(しょうじん・はげみ)・・・生かしあう努力をする
5、禅定(ぜんじょう・おちつき)・・・あわてず心を乱さず、おこたらず
6、般若(はんにゃ・智慧)・・・いかしあう智慧
これら六つの実践を心掛けて過ごすことが、彼岸会の本当の過ごし方です。
現在の心安らぎにくい世の中において、このような自己を正しく行動させることが、自分自身を活かす為の良い種まきになるのです。
そして、「菩提(悟り)の種をまく日かな」と彼岸の日々の行いが、実を結んだと実感できる時が来るのです。
(写真の掲示書は約二十年前に梁島先生がお書き下さったものです)