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2021.09.06

9月 天下の陰涼樹

9月になり涼しい気候になってまいりました。

境内入口の百日紅(サルスベリ)は大きく綺麗に咲いております。この百日紅は福厳寺境内で一番の古木だと言われております(樹齢は不明)。

大木ですので、夏は枝葉は茂りますのでお参りの方々が休める涼しい場所となります。幹も大きく、以前は洞に小鳥の巣が作られていたこともありました。

人々にとりましても、動物や虫たちにとっても、この木は一休みできる憩いの場所です。

いつも、この木の下で一休みをしている人たち、動物たちをみると思い出すことがあります。

 

かつて、大学の講義初日に生徒たちが自己紹介をする時がありました。その中の一人が、「しっかりと勉強をして修行に励み、将来は『天下の人のために陰涼』となりたいです」と挨拶しました。

これは臨済宗の宗祖である臨済義玄禅師(中国唐代の人、⁇~867)の行状が記されている『臨済録』にある重要な言葉です。

天下の人々のために涼しい木陰を作るような人物となる。

天下の人々が、心を寄せ頼りとして、癒し安らげる人となる。

そのような希望を持った青年でした。今は学業を終えて雲水修行に励んでいるそうです。

小衲も福厳寺の百日紅が大きく姿を見ると、この話を思い出し自らも天下の陰涼となるように励まなければと思うのでした。

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